140㎡6LDKに住んで5年半
今の築41年の賃貸マンションに住んで、5年半が過ぎようとしている。
今回は、5人家族で住んでいても、未だうまく使いこなせていない
ウォークインクローゼットがない代わりに、着物用の桐の収納箪笥が造り付けられている
という、不思議な物件についてご紹介。
ここを選んだ理由は、広さと庭。
約140㎡で6LDKという冗談みたいな間取り。
賃貸の検索条件のところは、「駅から何分以内」でも、「築何年以内」でもなく、「広さ 90㎡以上」のところだけをチェックして検索する。
(地方で、その広さの賃貸物件は数が限られているので、家賃設定をしなくても問題ない場合が多い)
モノ持ちなので、家財道具が収まる家を前提にする。
物件数は必然的に限られ、家探しの上では窮屈きわまりない。
昨今の賢明な生活者は、引っ越しを機に「物を減らす」方向に、ライフスタイルの指針を変えることもあるのに。。その波に便乗するつもりでいたけど、いざ引越し準備に取り掛かると、「物に対する執着も愛着」もそれなりにあることに気付く。少し減らしたところで、焼け石に水レベル。
広さを求めて、部屋探しを始める。
そして、でてきたこの物件。
猫の額ほどの庭であるものの、LDKの6枚の掃き出し窓(100×180)が庭に面していて、常に緑が見える上に、植栽も自由。古い物件ならではのゆるい感じ。
LDK、内見の時に、子どもが走り回っている〜。
この物件の問題はキッチン。
LDKは広いのに、キッチンは奥の陽の当たらない一角に、適当に、ちんまりと配されている。
明かり取りの小窓を申し訳なさそうにつける前に、もうちょっとレイアウトを・・・
窓を背に、壁を見ながら料理する台所。
昭和仕様のキッチン、アイランドの面影もない。
「キッチンが主役」になったのは平成に入ってからなんだなと痛感させられる。
昭和のお母さんは陽の当たらない場所で、無言でせっせと働いていたっけ、とか
「京町家のおくどさんって、奥から発生している言葉なんだな」、とか
妻が「奥さん」、と呼ばれるのは、とか
この台所を見ていると、「日陰にいる昭和のお母さんの台所」にまつわる言葉が、脳裏をよぎってしまう。
もう一つ候補にあがっていたのは、4LDK90㎡の賃貸専用マンション、という対照的な物件。悩んだ挙句、広さと庭に軍配が上がり、勢いでこの物件に決定する。
玄関入ると、エアコンのリモコンが7個
入居してドアを開けると、エアコンのリモコンが玄関の靴箱の上に7個。
エアコンが7台と物件資料に書いてあることより、リモコンが7個勢揃いしている姿
この物件の「変な感じ」を物語っているようで、軽く後悔した。
そのオーバースペックな感じ、部屋全体を使いこなせる日が来るとは思えない。。
しかも、TOSHIBAとPanasonicが混在。
エアコン7台を3台くらいに減らしていいから、お風呂にお湯炊き機能をください。。
と、「手に余るものを持った心許なさ」を感じながら、生活は始まった。
幼子3人と20軒ほど内見
この物件にたどり着くまでに、15軒ほど内見した。
当時、長男小1、長女年中、そして下の子は1歳半。そんな3人を引き連れて、富山から広島へ出てきて(特急、新幹線で片道5時間の長旅。。。)、よく、そんなにまわったものだ。
その中で、圧倒的に広く、古いのが、今住んでいるマンション。
子どもたちは、見た目のくたびれた感じに、「なぜ敢えてこの物件を選ぶのか」と文句を浴びせてきた。今となっては、広くて、一軒家感覚で住めて、1階で気楽で、なんとなく「なぜ親がこの物件を選んだのか」がじわっと分かってきている感じだけど。
その時住んでいた、富山の築年数不明の一軒家(5K・家賃6.5万円)は
広い庭と造り、夏の風通しのよさ、昔の物件ならではの凝った造作や素材、無駄に広い廊下や縁側と引き換えに、細切れの間取り、窓からの隙間風など欠点もそれなりにある「隙だらけの物件」。
今回は、せっかく家賃補助が出るんだから「心機一転、デザイナーズみたいな新しめのところに住みたいねぇ」なんて期待を膨らませながら話していたわけだけど、結局は、またよくわからない物件に落ち着いてしまった。。。
あんまり期待もせず、引っ越してきた5年半前。
期待より不安が上回っていたこの物件も、キッチンに作業台を置いたり、部屋は子どもが成長してそれなりに使いこなせたり、在宅勤務の夫も落ち着いて仕事ができたり、
意外によかったんじゃないかと思いながら、現在に至っている。
この不思議な、居心地がいいんだか悪いんだか、5年住んでいても捉えどころのない物件だけど、まだしばらく住む気でいる(広島の地価が高くて、戸建てが厳しいという事情もあり)。
迷っていた新築のマンションに住んでいたら、どんな生活を送っていたんだろう、
たまにぼんやり想像する。
なんとなく選んだ物件だったけど、こうして知り合いができて、それなりに根を張って暮らしているわけだ。物件は縁だなと、しみじみ感じる。
ちなみに家賃補助は再来年の春に切れる。
なのに、大家さんに交渉して、壁紙を自費で張り替える予定。